
八月には魔物が潜んでいるかもしれません。
例年より涼しげなお盆休みが明け、夏の暑さと共に仕事を再開する8月。
コールセンターの現場で「なんだか最近、オペレーターAさんの元気がない。」「Bさん、やけに通話後の処理に時間がかかっている…。」「Cさん、急な欠勤が増えた。」と感じることはありませんか?現に現場運営に影響が出ていて、この記事を読んでいるみなさまで困っている方もいらっしゃると思います。
もしかするとそれは、8月病かもしれません。
本記事では、SVやマネージャーがオペレーターを守るために知っておくべき8月病の兆候と、ヒアリング・メンタルケア・環境改善策についてくわしく解説します。
この記事でわかること
- コールセンターで8月病が起こるとされる原因
- オペレーターの不調のサイン
- SVがまずは取り組むヒアリングと就業環境の改善策
このような方におすすめ
- コールセンターでオペレーターを管理するSVや管理者
- お盆明けからスタッフの欠勤やミスが増え悩む管理者
- 離職を防ぐための具体的なメンタルケア手法を知りたい方
この記事は基礎的な内容となります。
以下のような方には、別の記事をおすすめします。
- 精神疾患などの医学的・専門的な治療方法を求めている方
- 部下のメンタルケアや労働環境の改善に全く関心がない方
- 正論や厳しい指導(精神論)を中心にして現場をマネジメントしたい方
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もくじ
- そもそも8月病とは?原因と放置するリスク
- SVは見逃さない!8月病が疑われる5つの兆候
- メンバーの異変に気づいたら?ヒアリングとケアの正しい手順
- 8月病を未然に防ぐ!コールセンターの環境改善策
- オペレーターに対する8月病対策を振り返る
- まとめ:SVの「早めの気づき」がメンバーの離職を防ぐ
- お客様対応時のささやきからSOSもくみ取れる「BlueBean」
そもそも8月病とは?原因と放置するリスク
5月病なら誰もが聞いたことあると思いますが、あまり聞きなれない8月病。
この8月病、正式な医学用語ではありません。
一般的には夏の終わりから涼しくなりだす秋にかけて、心身の不調をきたす状態の総称として使われています。
具体的には、倦怠感・食欲不振・無気力感・抑うつ感が挙げられます。
「季節の変わり目だから」「一時的な疲れだ」と見過ごされがちですが、放置するとオペレーターのモチベーション低下や、最悪の場合は離職につながるリスクが潜んでいます。
8月病は「夏の疲労」と「休み明けの憂鬱」のハイブリッド
8月病のメカニズムは5月病に似ていて、お盆休みなどの夏季休暇後にでやすいことから8月病といわれるようになったようです。
ただし、5月病との大きな違いがあります。
そう、暑さです。
読者のみなさんもご納得いただけると思います。近年、とても暑いです。
比較的心地よかった5月とは違います。
8月病の主な原因は、連日の猛暑や熱帯夜による睡眠不足からくる自律神経の乱れ(夏バテ)と、お盆の長期休暇明けに起こる「仕事へのモチベーション低下」が重なることにあります。
身体的な疲労で体力が削られているところに「また今日からクレーム対応か…」といった精神的な憂鬱さがハイブリッドで押し寄せるため、心身共に本人が自覚している以上にダメージが蓄積されやすいのが特徴です。
5月病より厄介?コールセンターで8月病が起きやすい理由
コールセンターは8月病が起きやすい環境ともいえます。
理由は室内外の激しい寒暖差です。パソコンやサーバーの熱を下げるために強い冷房が効いたセンター内に、1日中座りっぱなしでいると自律神経が急激に乱れてしまいます。 さらに、夏場はお客様も暑さでイライラしやすく、クレームが感情的になりがちです。
暑い、とひとえに言っても、日本をとりまく猛暑日の事情が大きく変わりました。
1910年からみると、1地点あたりの日数で見ても、猛暑日と言われる日数は大幅に増えています。

オペレーター業務は感情労働です。
このようなイライラしたお客様の感情を受け止める感情労働の負担がピークに達することで、5月病以上の深刻な不調に陥りやすいのです。
SVは見逃さない!8月病が疑われる5つの兆候
オペレーターのSOSに早く気づくため、以下の5つのサインに注意して現場の様子を観察してみましょう。
コツは日常の「おや…?」といった小さな異変に気づくことです。
ハインリッヒの法則という物があります。1件の重大事故の背後には29件の軽い事故がある。さらにその背後には300件のヒヤリ・ハットが存在する。1:29:300の法則とされていますが、分野は違えども小さな異変から察知するこの法則こそ、8月病に気付ける心構えと言えると著者は考えています。
8月病ではなかったですが、以前の仕事で突如退職した同僚も、自分自身から見た「ん…?」という違和感が、どうやら本人にとってはシグナルだったということもありました。辞めていく人間を止めることはできません。ただあの時、もっと話ができれば…。と思うこともある次第です。
1. 勤怠の乱れ(遅刻・欠勤・離席の増加)
これまで真面目だったスタッフの突発的な欠勤や、「5分だけ遅刻する」といったルーズさが増えた場合は要注意です。また、出勤はしていても、お手洗いやタバコ休憩などで何かと離席する回数が極端に増えたり、1通話あたりの通話後の処理に普段の倍以上の時間がかかったりしている場合も、集中力が途切れているサインです。
2. 応対品質の低下(声のトーンが暗い、ミスの増加)
モニタリング中、以前はできていた笑声を出すようなしぐさが消え、ロボットのように台本を読み上げるだけの機械的な対応になっていないでしょうか。また、普段なら絶対にしないような顧客情報の入力ミスや、保留の戻し忘れ、案内漏れが増えているケースはありませんか。これらも脳の疲労が蓄積しているサインとも推察できます。
3. 身だしなみや表情の変化
出勤時の服装や髪型の乱れ、メイクが雑になるなど、自分自身の身だしなみに気を使う余裕がなくなっていませんか。挨拶をしても目が合わない、デスクの上が急に散らかり始めた、といった身の回りの目に見えるちょっとした変化も見逃さないようにしましょう。
4. コミュニケーションの減少
休憩室で他のメンバーと雑談しなくなった。社内のチャットツールへの反応が極端に遅くなった。周囲との関わりを意図的に避ける。といった傾向は見られませんか。SVからの「大丈夫?」という声かけに対しても、「はい、大丈夫です」と条件反射で心を閉ざしてしまうことも兆候としてあると考えられます。
5. 顧客とのトラブル・クレーム対応時の疲弊
普段ならよくあるお叱りとして冷静に受け流せるクレームに対して、自分自身を全否定されたかのように過剰に落ち込んでしまうことはありませんか。電話を切ったあとに深いため息をついていたり、次の電話を取るために受付可にする時間がかかったりするなど、感情の切り替えができなくなっています。
もし、コールセンターシステムを導入していたら、オペレーターの通話後の処理に係る時間を見てみましょう。
BlueBean|オペレーターレポート
メンバーの異変に気づいたら?ヒアリングとケアの正しい手順
もし、このような兆候に気づいたら、SVから早めにヒアリングしましょう。
ただし、無理に解決しようとするのではなく、まずは寄り添うことが重要です。
BlueBean|その1on1、意味あった…?成果がある1on1とは。失敗例と成功例を探る。
日常会話から自然にヒアリングする機会のつくりかた
いきなり「面談室へ来てください」と呼び出すと、相手は「何か怒られるのでは」と身構えてしまいます。
「最近暑いけど、夜はよく眠れてる?」「さっきの対応、少し大変そうだったね。お疲れ様」など、自動販売機へ向かう途中や業務の合間の何気ない雑談から、体調や悩みを尋ねる小さな機会を増やしましょう。
「傾聴」に徹する!悩みを引き出すコミュニケーションのコツ
ヒアリングの際は、SVがアドバイスや指導をするのではなく、傾聴に徹します。
「もっとこうすればいいよ」と改善策を正論としてぶつけるのではなく、「それは辛かったね」「毎日暑い中、通勤するだけでも大変だよね」とまずは受容と共感を示すことで、オペレーターは「この人は自分の味方だ」と安心し、本音を話しやすくなってきます。
【重要】SVが抱え込まず、産業医や専門窓口へ「つなぐ」
SVの役割は「病気を治すこと」ではなく、まず「不調に気づくこと」です。
話を聞いた結果、明らかな睡眠障害や強い抑うつ傾向が見られる場合、SVの励ましだけでは乗り切ることはできません。かえって逆効果に転じてしまうこともあります。
SV自身で抱え込まず、速やかに産業医や社内の相談窓口、人事・労務部門へと連携し、専門的なケアへつなげるラインをあらかじめ決めておきましょう。
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8月病を未然に防ぐ!コールセンターの環境改善策
気温差による自律神経の不調も起因するならば、ヒアリング以外にも改善できる手立てはあるかもしれません。
そう、就業環境です。
事後対応だけでなく、コールセンター全体の環境を整えることで、8月病を未然に防ぐアプローチも不可欠です。
空調設定や休憩室など、フィジカル面でのケア
冷房の効きすぎは体調不良の原因です。
オフィスの中でも夏にもかかわらずカーディガンなどを羽織る方などもいらっしゃると思います。そのオフィス、寒すぎるかもしれません。
とはいえ、暑い寒いと感じるのは個人差があります。なので、「少し設定温度を高めにしたエリア」を設けたり、ブランケットやカーディガンをいつでも貸し出せるように準備したりしましょう。 また、休憩室に冷たい飲み物だけでなく、自律神経を整える温かいハーブティーなどを用意するのも効果的です。モニターから目を離してリラックスできる空間づくりを心がけてください。
シフト調整や業務量の見直しによる負担軽減
特定のオペレーターに難しい対応が偏らないよう、シフトや業務量のバランスを見直します。 お盆の連休明けなどは特に心理的ハードルが高いため、復帰直後は少し余裕を持たせた業務配分(例えば、受電だけでなくバックオフィス業務を少し混ぜるなど)にするなどといった配慮が、環境面でも8月病防止に繋がります。
※BlueBeanには、オペレーターひとりひとりの着信頻度をコントロールする機能もあります。
オペレーターに対する8月病対策を振り返る
Q1:オペレーターの「8月病」のサインには、どのように気づけばいいですか?
A:A勤怠の乱れや身だしなみの変化のほか、コールセンターならではの通話後の処理時間の増加や機械的な対応といった、日常の小さな異変を見逃さないことが重要です。
Q2:メンバーの不調に気づいたら、どのようにヒアリングすればいいですか?
A:業務の合間に自然に声をかけ、正論やアドバイスではなく、まずは傾聴と共感に徹してください。
SV自身で抱え込まず、必要に応じて産業医や専門窓口へ速やかにつなぐことが鍵になります。
Q3:8月病を防ぐための環境改善は何から始めればいいですか?
A:空調の調整や温かい飲み物の用意といったフィジカル面のケアに加え、お盆休み明けはバックオフィス業務を少し混ぜて心理的負担を和らげるなど、シフトや業務量のコントロールが効果的です。
まとめ:SVの「早めの気づき」がメンバーの離職を防ぐ
8月病は、どんなに優秀なオペレーターであっても起こりうる心身のサインです。
コールセンターの最前線にいるSVが「いつもと違う」という小さな変化にいち早く気づき、適切なフォローを行うことが、オペレーターの心を守り、定着率を高める最大のカギとなります。
まずは今日、現場で頑張るメンバーの顔を見て「お疲れ様!」と明るく声をかけるところから始めてみましょう!
※そしてSV・マネージャーの皆様ご自身も、無理をせずご自身の体調を一番に労わってくださいね…!
お客様対応時のささやきからSOSもくみ取れる「BlueBean」
お客様対応中に言葉に詰まってしまっても、なかなか自分からSOSを出せないオペレーターは少なくありません。
そのような時に活用できるのが、BlueBeanのささやき機能です。これは、お客様には聞こえない形で、SVから特定のオペレーターにだけ直接音声で助言ができる機能です。周囲に不調やトラブルを知られることを嫌がる方もいらっしゃると思います。
そっとサポートに入れることができるため、オペレーターの心理的負担を和らげる心遣いあるアプローチができるようになります。
BlueBean|14.モニタリング・ささやき・強制ログオフの使い方:初期導入



