コールセンターの現場で実務をこなしている管理者であれば、一度は耳にしたことのあるACD
現在のコールセンター運用にかかせないシステムとなっていますが、あなたはACDについてどの程度知っていますか?

今回は、ACD(着信呼自動分配装置)の基本機能、活用で得られるメリットについて解説します。

1.ACD(着信呼自動分配装置)とは?

ACD概要図BlueBeanのACD機能

ACD(着信呼自動分配装置)は、お客様からの入電を、事前に設定した条件のもとで自動的に管理・運用できるシステムです。
※英語表記である「Automatic Call Distribution」から頭文字を取って、「ACD」と呼ばれています。

1970年代、アメリカの航空会社が、コールセンター運用を最適化するため開発したのが始まりとされています。

 IVR(自動音声応答機能)を用いた入電内容の事前把握とセットで活用される場面が多く、インバウンド系のコールセンターで広く活用されています。
IVRについてはこちらで詳しく解説しています。

「着信数が少ない」「待機時間が長い」「スキル別で設定したい」など、現場の状況や人員のスキルにあわせた柔軟な条件設定ができ、今日のコールセンター運用に必要不可欠なシステムのひとつです。

2.ACDで設定できることは?

ACDでできること

ACDにはさまざまな条件を設定することができます。
こちらでは、その中でも一般的に活用頻度の高い条件の内容について解説します。

※以降の文章での「待ち呼」「あふれ呼」は以下の意味になります。
待ち呼…空きオペレーターがおらず、オペレーターが空くのを待っている着信呼。
あふれ呼…空きオペレーターがおらず且つ、待ち呼になれなかった着信呼。

①待ち呼ガイダンス

待ち呼ガイダンスとは、電話がつながりにくい状態になっている際に流れるアナウンスです。

例えば、あなたがコールセンターに問い合わせをした際、「電話が大変込み合っています。もうしばらくお待ちください」などの混雑を知らせるアナウンスが流れてきた経験はありませんか?このときに流れてくる自動音声が、待ち呼ガイダンスです。

ガイダンス(自動音声)の内容は変更が可能なため、「混雑する時間を回避した時間帯でのかけ直し」「Web手続きの案内」など、必要に応じた柔軟な設定ができます。
もちろん、そのままオペレーターに繋がるまでお待ちいただく事も可能です。

②あふれ呼設定

全てのオペレーターがふさがっている場合の入電を、待ち呼にせず別の方法で対応をするのがあふれ呼設定です。

コールセンターに電話をかけて「ただいま大変混みあっております。後ほどおかけ直しください。」とアナウンスが流れ切電される挙動は、あふれ呼設定によるものです。
上記のように、ガイダンスを流して切電することも出来ますが、留守番電話に転送する・外線に転送するなどの設定を行うことも可能です。

③待ち時間順着信

受け待ちで待機している時間が長いオペレーターへ、優先して入電するように設定できます。

これにより、全オペレーターへ均等に電話対応の割り振りができ、オペレーターの不満がたまる原因である、「特定のオペレーターへ入電が偏る」という事態を防止できます。

④着信回数優先着信

着信回数が少ないオペレーターへ優先的に割り振りをする設定です。
オペレーターのスキルによって、対応数には相当の差が出てきます。
そのため、着信対応数が少ないオペレーターへ優先して入電させることで、オペレーター毎の対応件数の均等化に役立ちます。

⑤スキルベースルーティング

オペレーターのスキルに応じ、対応する担当者を優先して割り振ることができます。

事前に入電内容の把握が可能になるIVRと組み合わせることで、お客様の疑問を迅速に解決できるため、お客様満足度の向上が期待できます。

⑥ランダムルーティング

割り振り条件を決めず、ランダムで着信がオペレーターに入ります。

3.ACD活用のメリット

ACD活用メリット

ACDを活用することで得られるメリットとはどのようなものでしょうか?
代表的なものをいくつかご紹介します。

①オペレーターの不満を解消できる

オペレーターにたまりやすい不満として、「対応件数に差がある」というもがあげられます。
ベテランオペレーターが新人より件数をこなせるのは当然と言えます。しかし、その比率に差があり過ぎると、オペレーターの負担となってしまい、離職につながるほどの深刻な原因となる恐れがあります。

ACDを活用することで、オペレーター毎の入電数を均等化できるため、特定のオペレーターに入電が集中する事態を回避できます。 

※補足として、上記説明はスキルの標準化がうまくできている場合があてはまります。オペレーターへのスキル付与がうまくできていない状態では、特定のオペレーターへ負担が集中する事態を回避できません。研修の実施やマルチタスク人員の育成など、現場の状況にあわせた工夫も必要となります。

②応答時間の短縮

ACDIVRを連動させることで、お客様にとって最適なオペレーターへすぐに電話をつなげるため、お客様の課題解決にかかる時間が短縮できます。
その結果、応答時間の短縮になり、短時間で課題が解決できることから、お客様の満足度も向上します。

③専門オペレーターによる対応で成約が生まれやすい

専門オペレーターによる的確な対応により、成約が生まれやすくなります。

例えば、化粧品のインバウンド業務を担っているコールセンターの場合、お客様から注文を受ける際、注文窓口の専門オペレーターに電話が割り振られます。
そのとき、商品の成分や使用方法を熟知しているオペレーターから、自分の肌質や使用頻度にあった、いま使っているものより少しだけ値段の高い商品を提案されたらどうでしょう?
おそらく多くの場合、「試してみようかな」と思ってしまうはずです。

このように、専門知識や技術を持ったオペレーターによる対応は、新たな成約を生み出しやすいのです。

④待ち呼の減少

待ち呼が多いと、待ちきれないお客様が離脱する可能性が高まり、離脱率に応じて応答率も下がっていきます。

このような場合には、対応時間の短いベテランオペレーターへ優先的に割り振られるような条件に設定することで、待ち呼の減少をはかれます。

⑤新人研修に活用できる

OJTやデビュー直後など、対応に不安が残るオペレーターの研修に活用できます。
新人オペレーターにいきなり難しい対応はできません。
少しずつ業務に慣れてもらうためにも、難易度の低い問い合わせから対応できるように、優先度の設定を工夫しましょう。

知識や経験によって、対応できるスキルもどんどん増えていくため、オペレーターに負担のかからない範囲・速度で徐々に対応可能な範囲を広げていくのがポイントとなります。

4.ACDの設定や利用方法を見直してみませんか?

ACDを見直す

ACDを活用することで得られるメリットや設定できる条件の一例をご紹介しました。
しかし、事業所によって必要な機能が異なってきますので、今回ご紹介した内容はあくまで一例に過ぎません。

あなたの勤めるコールセンターに必要な条件はなんでしょうか?
ぜひこの機会に、ACDの設定や利用方法を見直してみてください。
きっと今後の運用を豊かにするヒントになってくれるでしょう。

クラウド型コールセンターシステム:BlueBean(ブルービーン)

BlueBeanは、クラウド型のコールセンターシステムです。
今回ご説明した「ACD」の機能も備えております。特に「スキルベースルーティング」では、優先的に着信呼を配信させるオペレーターの設定できるので、メール・チャットを優先的に対応するオペレーターの優先度を下げ、効率的に着信呼を分配することが可能です。

無料デモ環境もご利用いただけますので、一度お試しください。

クラウド型コールセンターシステム:BlueBean
https://www.bluebean365.jp/